quick answer
標準治療は、炎症を抑える急性期と、再発を防ぐ維持期の2段階です。
日本皮膚科学会の2023年版ガイドラインでは、面皰や炎症性皮疹にアダパレン、過酸化ベンゾイル(BPO)、配合外用薬などが推奨されています。炎症が広い場合は内服抗菌薬を併用しますが、急性炎症期は最大3か月を目安に維持期へ移ります。
ガイドラインは診察を置き換える薬のランキングではありません。同じ「赤いぶつぶつ」でも、面皰を伴わない酒皶、毛包炎、口囲皮膚炎などでは治療が異なり、妊娠の可能性や副作用によって推奨度Aの薬でも使えない場合があります。
診察で最初に確認すること:炎症性皮疹の数だけでなく、面皰の有無、痛いしこり、跡の兆候、使用中の薬・化粧品、妊娠の可能性を確認します。見た目が似た別の皮膚疾患を除外してから、ガイドラインのどの治療段階に当てはまるかを判断します。
recommendation grades
推奨度は、薬の「強さ順」ではありません。
有効性の根拠に加え、副作用や国内での承認・適用状況を含めた推奨の強さです。
強く推奨
少なくとも1つの有効性を示すレベルI、または良質なレベルIIの根拠があります。
推奨
A相当の有効性の根拠があっても、副作用などを考慮して推奨度が一段下がります。
推奨
質の劣るRCT、良質な非ランダム化比較試験などに基づき、行うよう推奨します。
選択肢
選択肢の一つとして推奨します。標準治療が難しい場合など、条件を確認して検討します。
現時点で推奨しない
十分な根拠がない、または有効性が示されていないため、一律には推奨しません。
行わないよう推奨
無効または有害であることを示す良質な根拠があり、行わないよう推奨します。
standard treatment algorithm
ニキビの標準治療を、病変と段階で選ぶ。
以下は日本皮膚科学会ガイドライン2023の主要な推奨を患者向けに整理したものです。
表は横にスクロールできます →
| 病変・段階 | 推奨度Aの主な選択肢 | 抗菌薬の位置づけ | 患者が確認すること | 詳しいページ |
|---|---|---|---|---|
| 面皰 白・黒ニキビ | アダパレン0.1%、BPO 2.5%、アダパレン0.1%/BPO 2.5%配合剤 | 外用抗菌薬だけを面皰へ使うことは推奨度C2 | 赤み・乾燥・皮むけ。アダパレンは妊娠中または妊娠の可能性がある場合に使用しない | 塗り薬を比較 |
| 軽症〜中等症の炎症 | BPO、アダパレン、アダパレン+外用抗菌薬など | 炎症性皮疹に外用抗菌薬は推奨度A。ただし維持期まで漫然と続けない | 面皰の混在、塗布範囲、刺激、抗菌薬を終了する時期 | 赤ニキビ治療 |
| 中等症〜最重症の炎症 | アダパレン/BPO配合剤+内服抗菌薬など | ドキシサイクリンはA、ミノサイクリンはA*。薬ごとの安全性も比較 | 範囲、しこり、瘢痕、年齢、妊娠、併用薬、光線過敏・胃腸症状等 | 飲み薬を比較 |
| 炎症軽快後の維持期 | アダパレン、BPO、アダパレン/BPO配合剤はいずれも推奨度A | 耐性菌を誘導する懸念のない薬へ切り替える | 新しい面皰、少数の炎症、刺激、続けられた日数 | 再発を見直す |
| 囊腫・硬結・瘢痕リスク | 重症度と治療反応を再評価し、早めに専門的治療を検討 | 囊腫・硬結への内服抗菌薬はC1。適応を個別に判断 | 深さ、痛み、急速な増加、瘢痕、日常生活・心理面への影響 | 重症度を確認 |
実際の診療で重視すること:同じ重症度でも、外用薬を塗れる範囲や生活時間、過去に刺激で中断した経験によって、続けられる治療は変わります。成分数の多い薬を機械的に選ばず、どこへ・いつ・どの量を使うかまで確認して治療計画を組み立てます。
acute & maintenance
「良くなったら全部やめる」ではなく、治療の役割を切り替える。
炎症を抑える時期と、再発を防ぐ時期では、同じ薬を漫然と続けません。
炎症性皮疹を減らす
赤いニキビや膿疱が主体の時期です。BPO、アダパレン、配合外用薬、必要に応じた抗菌薬で炎症を抑えます。
- 開始後の刺激・副作用を確認
- 炎症性皮疹としこりの変化を評価
- 抗菌薬の継続・終了時期を決める
面皰と再発を抑える
面皰・微小面皰を治療し、軽快した状態を維持します。アダパレン、BPO、両者の配合剤を症状と刺激に合わせて使います。
- 抗菌薬を含む治療を見直す
- 新しい面皰・炎症の発生を記録
- 刺激なく続けられる頻度を調整
再診で確認すること:赤いニキビの数だけでなく、新しくできた面皰、塗れた日数、乾燥やヒリつき、抗菌薬の残日数を確認します。「効いた・効かない」だけでなく、使い方と副作用を分けて確認すると、治療変更が必要か、塗り方の調整で続けられるかを判断しやすくなります。
insured standard & private options
国内標準治療と、条件付き・自由診療の選択肢を分ける。
自由診療だから標準治療より上位、または新しいから有効とは限りません。
国内の標準治療
承認されたアダパレン、BPO、配合剤、外用・内服抗菌薬などを、病変と重症度に合わせて使います。
- 診断・適応により保険診療
- 急性期から維持期へ移行
- 副作用と禁忌を個別に確認
C1の施術・成分
グリコール酸/サリチル酸マクロゴールのピーリングやアゼライン酸はC1で、保険適用外です。標準治療が無効・実施できない場合などに条件を確認します。
- 選択肢の一つという位置づけ
- 費用・回数・リスクを別途確認
- 国内承認・入手経路も確認
C2・未承認治療
レーザーはC2で一律には推奨されません。イソトレチノインは日本でニキビに未承認・保険適用外で、海外ガイドラインと国内標準を分けて考えます。
- 適応を診察で個別に判断
- 根拠の確実性と安全性を確認
- 妊娠関連を含む重大な注意を確認
evidence hierarchy
国内ガイドラインを軸に、海外指針と高次エビデンスで補う。
国や研究で結論が異なる場合は、対象患者・承認状況・研究の確実性まで確認します。
日本皮膚科学会
国内の承認・適用状況を踏まえた標準治療の中心資料です。推奨度と治療段階はこのガイドラインを優先して整理しました。
2023年版を確認AAD・NICE
海外の標準治療、心理面、専門医紹介、イソトレチノイン等を比較する資料です。日本の承認・保険へそのまま置き換えません。
NICE NG198を見るPubMed掲載の高次研究
複数RCTをまとめたシステマティックレビューやネットワークメタ解析を参照し、効果だけでなく研究間の不確実性も併記します。
治療全体のNMAを見るwhen to visit & reassess
跡が増える前、続けられない時、判断に迷う時に再評価する。
ガイドラインに沿うには、処方だけでなく診断・使い方・経過確認が必要です。
皮疹を記録
正面・左右を同じ明るさで撮り、新しい赤い皮疹としこりを確認します。
使用品を共有
処方薬、市販薬、化粧品、サプリ、過去の薬を一覧にします。
安全情報を伝える
妊娠の可能性、授乳、アレルギー、併用薬、既往歴を伝えます。
再診で評価
皮疹数、刺激、塗布・服薬状況を確認し、継続・調整・変更を判断します。
維持へ移行
炎症軽快後は抗菌薬を見直し、面皰と再発を抑える治療へ切り替えます。
frequently asked questions
ニキビ治療ガイドラインのよくある質問
最新版、推奨度、抗菌薬、維持治療、自由診療、海外ガイドラインについて回答します。
ニキビ治療ガイドラインの最新版は何年版ですか?
日本皮膚科学会の一般公開ガイドライン一覧では、2026年8月22日の確認時点で「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」が掲載されています。公開後に改訂される可能性があるため、本ページでは確認日と公式リンクを併記しています。
推奨度Aなら、誰にでも一番よい治療ですか?
いいえ。推奨度Aはガイドライン上で強く推奨されることを示しますが、妊娠の可能性、年齢、副作用、皮疹の種類、既往歴などによって使えない・調整が必要な場合があります。診察前に薬を決めるための順位表ではありません。
白ニキビ・黒ニキビの標準治療は何ですか?
面皰にはアダパレン0.1%、過酸化ベンゾイル2.5%、両者の配合剤が推奨度Aです。炎症性皮疹と混在する面皰では抗菌薬を含む配合剤が使われることもありますが、炎症軽快後の維持治療には抗菌薬を含まない薬を選びます。
赤ニキビや膿を伴うニキビには何を使いますか?
軽症から中等症では過酸化ベンゾイルやアダパレン等を検討し、中等症以上では配合外用薬や内服抗菌薬との併用を検討します。皮疹の数だけでなく、範囲、深さ、痛み、瘢痕の兆候も診察して決めます。
抗菌薬はいつまで使いますか?
ガイドラインでは急性炎症期を最大3か月の目安として維持期へ移行します。ただし、全員が必ず3か月使うという意味ではなく、再診で炎症性皮疹、副作用、服薬・外用状況を確認して継続や中止を判断します。
炎症が治まった後も治療は必要ですか?
再発しやすい場合は維持治療を続けます。アダパレン、過酸化ベンゾイル、両者の配合剤は寛解維持で推奨度Aです。抗菌薬を漫然と続けるのではなく、耐性菌を誘導しにくい薬へ役割を切り替えます。
レーザーやピーリングは標準治療ですか?
国内ガイドラインでは、グリコール酸またはサリチル酸マクロゴールによるピーリングは、標準治療が無効または実施できない場合の選択肢で、保険適用外です。レーザーは本邦での検討や保険適用の点から一律には推奨されていません。
イソトレチノインは日本のガイドライン治療ですか?
イソトレチノインは海外ガイドラインで扱われますが、日本ではニキビに対して未承認・保険適用外です。日本皮膚科学会ガイドラインは本邦未承認薬を強い推奨の対象に採用していないため、国内標準治療と分け、妊娠関連を含む重大な注意事項を確認して判断します。
海外ガイドラインと日本のガイドラインが違うのはなぜですか?
承認薬、保険制度、利用できる製剤、評価した研究、更新時期が異なるためです。AADやNICEは国際的な比較材料になりますが、日本での処方可否や保険適用は国内の承認・添付文書・診療制度に従います。
どの段階で皮膚科を受診すべきですか?
赤みや膿、痛いしこりが増える、跡が残り始めた、市販薬で改善しない、治療薬の刺激で続けられない場合は早めに相談してください。急に広がる強い腫れ、発熱、顔や喉の腫れ、呼吸のしづらさがある場合は、ニキビと決めつけず速やかに医療機関へ相談してください。
acne treatment cluster
症状・薬・通院計画を詳しく確認する
このページはガイドラインの読み解きに特化し、個別の検索意図は専門ページへ分けています。
references
参考資料・高次エビデンス
日本の診療判断は国内ガイドラインと承認・添付文書を優先し、海外ガイドラインとPubMed掲載のシステマティックレビュー・メタ解析は比較資料として参照しました。
- 日本皮膚科学会「一般公開ガイドライン」公式一覧
- 日本皮膚科学会「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023」国内診療ガイドライン
- Guidelines of care for the management of acne vulgaris(JAAD, 2024)PubMed・診療ガイドライン
- NICE NG198: Acne vulgaris: management(2026年4月更新)公的ガイドライン
- Mavranezouli et al. Treatment network meta-analysis(Br J Dermatol, 2022)PubMed・SR/NMA
- Comparative efficacy of pharmacological treatments: 221 RCTs(Ann Fam Med, 2023)PubMed・NMA
- Topical treatments for mild-to-moderate acne(2024)PubMed・SR/NMA
- Treatments for moderate-to-severe acne(J Drugs Dermatol, 2024)PubMed・SR/NMA
- Benzoyl peroxide for acne(Cochrane, 2020)PubMed・Cochrane SR
- Acne maintenance therapy systematic review(Dermatology, 2016)PubMed・SR
- Antibiotic resistance in acne systematic review(Lancet Infect Dis, 2016)PubMed・SR
- C. acnes antibiotic resistance meta-analysis(Front Microbiol, 2025)PubMed・SR/MA
- Oral isotretinoin for acne(Cochrane, 2018)PubMed・Cochrane SR
- Prevalence and risk factors of acne scars(2023)PubMed・SR/MA
- Burden of acne on quality of life and psychosocial well-being(2026)PubMed・SR
MEDICAL SUPERVISION
監修医師からのメッセージ
主監修医師
倉田 照久
医療法人御照会 理事長・渋谷文化村通り皮膚科 院長
ガイドラインと症状に沿ったニキビ治療を相談する
保険診療を基本に、皮疹の種類、重症度、治療歴、副作用を確認して治療計画をご案内します。
WEB予約TOC GROUP
TOCグループ
医療法人御照会を中心とした医療グループ
本ページは一般的な医療情報の提供を目的とし、個別の診断・処方に代わるものではありません。薬の適応、用法、副作用、妊娠・授乳時の扱いは、診察と最新のガイドライン・添付文書等に基づき判断します。
医療情報の最終確認日:2026年8月22日
